6月18日、パワーシフト・キャンペーンと共催で「電力システム改革の今後と再エネの未来」と称したセミナーで開催しました。
▶イベントページ:https://power-shift.org/250618_seminar/
本イベントページ上に、当日の資料および動画を掲載しております。
第7次エネルギー基本計画の決定や電力システム改革の検証など、昨年度は気候変動やエネルギーに大きな影響を与える重要な政策が決定されました。残念ながら現在の日本は”ゼロエミッション”を謳う火力の延命や、採算の悪化する原子力を支える方向に進んでおり、世界の”自然エネルギー3倍”を目指す動きからは外れてしまっています。
今回は、一体日本の電力システムの何が問題なのか?世界ではどのように進められているのか?をテーマに、国会議員会館とオンラインのハイブリッドでセミナーを行いました。
パワーシフト・キャンペーンからの報告
まず、パワーシフト・キャンペーン/ FoE Japanの吉田明子さんより現在の課題が総括されました。先般電力システム改革の検証を経たものの、容量市場などが再エネより原発や火力を支える仕組みとなっていること、これによって未だ大手電力と新電力の間にある不均衡が大きく、これにより地域新電力に大きな負担がかかっていることなどを指摘しました。
日本の電力システムの問題-世界の動向とデータから確認
続いて、ストラスクライド大学/ 環境エネルギー政策研究所の安田陽さんから、再エネや火力をめぐる国際動向や、特に容量市場や長期脱炭素電源オークションといった日本の電力市場の問題について説明頂きました。特に驚きだったのは、安田さんが在住しているイギリスの動向。イギリスは石炭火力を昨年全て廃止していますが、ガス火力までも依存低減を進めており、2030年までに発電電力量のうち5%未満程度しか見込んでいないとのことでした。そして容量市場については新規投資につながりにくく既存設備の利益になりやすいこと、電気料金の上昇につながりやすいことなどが指摘されました。
国際的な常識としての2050年再エネ9割の実現のために重要なのは、国際議論に沿った科学的根拠に基づいた制度設計である、とまとめていただきました。
新電力の声 容量市場の影響
パワーシフトキャンペーンに登録されている新電力として、生活クラブエナジー、秩父新電力、太陽ガスのお三方が登壇しました。容量市場の資金は、小売事業者から容量拠出金として支払われます。大手電力は手持ちの電源が容量市場で支えられるため容量確保契約金が支払われて相殺できますが、新電力には多大な負担がかかります。容量拠出金の負担が大きいため、電気料金を上げざるを得なくなったり、顧客への説明に苦労したり、電気料金の上昇を避けるためにも苦慮している様が伝わってきました。
公正な競争環境という点からも、容量市場は存在意義から見直す必要があるのではないでしょうか。
質疑応答パートでは、参加の皆さんから多様な質問があげられ、講師の方々からわかりやすく回答をいただきました。ぜひ動画でご確認ください。
当日の動画はパワーシフト・キャンペーンのYoutubeチャンネルで公開しております。
当日ご参加されなかった方・ウェビナーを見直したい方も、以下のリンクからぜひご覧ください。