U20東京メイヤーズ・サミットが開催され、持続可能で包摂的な世界の実現に向けて、世界各地の首長が都市共通の課題や解決を議論しました。世界の大都市が呼びかける「自然エネルギー100%」にはどういった意義があるのでしょうか。
U20サミットに世界の大都市のリーダーが終結
2019年5月22日、世界の大都市のリーダーでつくるU20(Urban 20)が、G20大阪サミットに向けた提言(コミュニケ)を発表しました。U20とは、G20サミットに集う首脳に向けて、世界の大都市のリーダーがその経験を活かして提言をおこなうプラットフォームのことです。
今回のU20サミットで発出されたコミュニケでは、「我々、本コミュニケに署名した都市の首長は、2019年のG20に積極的に参画するために、2年目となる今回もU20としてここに集結する」とした上で、G20に対する提言をまとめています。
2030年までに再エネ電力割合100%をめざそう
そのG20に対する提言の中のひとつに、「2030年までに電力の割合を再生可能エネルギー100%、2050年までに再生可能エネルギー100%を実現することで、エネルギー供給網の脱炭素化を約束する」という呼びかけがあります。
エネルギー利用は、電気、熱、輸送燃料の3つの分野にわかれます。電気については2030年までに再生可能エネルギー100%、エネルギー全体については2050年までに再生可能エネルギー100%をめざして、U20の都市と連携するようにG20首脳に求めたのです。
G20首脳には、当然、今年のG20大阪サミットの議長を務める安倍総理も含まれます。また、このコミュニケには、東京都の小池百合子知事と、大阪市の松井一郎市長もその名を連ねています。
つまり、東京都知事と大阪市長を含む世界の大都市のリーダーが、安倍総理をはじめとするG20首脳に向けて、再生可能エネルギー100%をめざそう、そのために都市と協力しようと呼びかけたものだといえます。
地域が呼びかける再エネ100%。さあ、次は?
なお、このコミュニケには、東京都と大阪市だけでなく、世界の名だたる大都市のリーダーが署名しています。ベルリン、シカゴ、ローマ、パリ、シドニー、ロサンゼルスといった先進国だけでなく、ヨハネスブルグ、ブエノスアイレス、ダーバン、北京、ソウルといった新興国および途上国の大都市の首長も参加し、このメッセージの発信主体になっています。ヨハネスブルグのように、自治体として再生可能エネルギー100%目標を正式に掲げているところもあります。
東京都と大阪市は、現時点ではまだ自治体としての「再エネ100%宣言」はなされていませんが、大きな方向として再生可能エネルギー100%をめざそうとG20首脳に呼びかけたことには大きな意義があります。今後、東京都や大阪市から、再エネ100%への前向きなメッセージが出ることを期待したいと思います。
また、もちろん、このような大都市のリーダーのメッセージをうけて、安倍総理をはじめとするG20首脳も、再エネ100%のビジョンを共有し、その未来へと舵を切ってほしいですね。
参考:東京都 報道発表資料「世界の主要都市と連携し、G20に向けたコミュニケを発表 2019年U20東京メイヤーズ・サミット閉会」
まとめ:伊与田昌慶(気候ネットワーク)