パリを拠点とする国際的な自然エネルギー政策のネットワーク組織 REN21 は、2020年6月16日、「自然エネルギー世界白書2020(Renewables Global Status Report 2020)」を発表しました。自然エネルギー世界白書は、2005年以降、毎年、世界の自然エネルギーの普及状況を報告しています。
電力分野を軸に、着実に増える自然エネルギー
レポートによると、電力分野での伸びは堅調で、発電量に占める自然エネルギーの割合は、2019年に27.3%に増加。2019年の1年で導入された自然エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスやその他の海洋エネルギーなどの総数で、200GW以上に及んでいます。もっとも導入量の多かった設備は、太陽光で約115GW、次いで風力が約60GWでした。
出典:Global States Report 2020, REN21
需要面や熱分野での課題電力分野での進展の一方、熱分野や交通運輸分野では自然エネルギーが伸び悩んでおり、最終エネルギー消費に占める割合は、電力分野が26%に対して、熱分野では10%、交通運輸分野3%と低調です(※いずれも2017年の数字)。
出典:ISEPサイトより
また、電力での伸びにも関わらず、総最終エネルギー消費量全体に占める自然エネルギーの割合がなかなか伸びないのは、2013年に353EJだった最終エネルギー消費が、2018年には378EJと約7%増えており、エネルギー需要自体が増加しているためとしています(同期間に自然エネルギーは約22%増加)。
自然エネルギーでグリーン・リカバリーを
コロナ禍にあって、一時的に排出が減少してはいるものの、2℃未満に気温上昇を抑えるというパリ協定の目標を達成するには、今後10年以上にわたり、年7%以上の排出削減が必要であり、依然として十分な排出削減量には至ってはいないとレポートは述べています。
そのため、この状況から回復していく上でも、いまより効率的なエネルギー利用と自然エネルギーに基づいた社会形成ができるよう検討を進めていくことの重要性をレポートでは説いています。
「自然エネルギー世界白書2020」の詳細な知見については、環境エネルギー政策研究所(ISEP)のプレスリリースをご覧下さい。