自然エネルギー100%をめざして世界各国で導入が加速しています。電力の自然エネルギー化が大きく進む一方で、私たちのエネルギー消費の大半を占める熱や交通分野の取り組みはまだまだ不十分です。REN21「自然エネルギー世界白書」から現状を見ていきましょう。

最終エネルギー消費に占める自然エネルギーの割合

REN21が2019年6月18日に公表した「自然エネルギー世界白書2019(Renewables 2019 Global Status Report, GSR2019)」によると、2017年の世界の最終エネルギー消費に占める近代的な自然エネルギーの割合は10.6%で、電力分野が5.6%(大規模水力を含む)、熱分野が4.2%、交通分野が1.0%となっています。

分野別に最終エネルギー消費全体に対する割合を見てみると熱分野が全体の約半分(51%)を占めています(2016年データ)。これに対して交通分野が約32%で、電力分野が約17%です。このうち自然エネルギーの割合は電力分野ではすでに26%に達していますが、熱分野では自然エネルギー割合(伝統的バイオマスを除く)はようやく10%程度で、交通分野ではまだ3%程度に過ぎません(図1)。

図1. 世界の部門別の自然エネルギー割合(出所:GSR2019)

政策については、電力分野での明確な普及政策を掲げている国が135カ国あるのに対して、熱分野ではまだ20カ国に過ぎず、多くの国で適用されている化石燃料への補助制度の廃止と環境税などのカーボンプライシングの適用が必要です。

自然エネルギー電力

比較的進んでいる電力部門での自然エネルギーの導入ですが、すでに17カ国では自然エネルギーの設備容量(大規模水力を除く)が10GWを超えており、45カ国1GWを超えています(大規模水力を含めれば30カ国10GW超)。

年間導入量も、自然エネルギーの発電設備が、2018年に全発電設備の約6割に達しており、2012年以来、化石燃料等の発電設備を上回っています。しかし、その導入ペースはパリ協定に基づく世界各国での自然エネルギーの導入目標を考えたときにとても十分とは言えません。

世界全体での自然エネルギーへの投資額は2018年に2,890億ドルでしたが、化石燃料に対する補助金は115カ国で存在し、その総額も3,000億ドルに達して前年から11%増加しています(2017年)。

都市の自然エネルギー

一方、2019年から新たに発表された「自然エネルギー世界白書2019都市編(Renewables in Cities 2019 Global Status Report, REC-GSR2019)」では、世界の様々な地域の都市での自然エネルギーへの取り組みが評価されています。本稿執筆時点で、レポートはサマリー版のみが発表されており、全体レポートは2019年10月にソウルで開催される「韓国・自然エネルギー国際会議(Korea International Renewable Energy Conference in Seoul 2019, KIREC Seoul 2019)」にあわせて発表される予定です。

都市では、世界人口の約55%が暮らし、エネルギーの65%が消費され、CO275%が排出されていることから、世界の自然エネルギーの開発や普及を考えたときに非常に重要な役割を果たします。このレポートは、これまであまりデータがなかった世界各地の都市に注目し、その現状と可能性についてまとめています。

都市で自然エネルギーが普及することには、気候変動対策、大気汚染防止、健康、エネルギー・アクセス、エネルギー安全保障、経済性、雇用、ガバナンスなど、さまざまなメリットがあります。都市や地域が自然エネルギーを増やすことで、海外や地域外に流出していた経済的価値を地域内で循環させることができます。2018年初頭で、世界340都市のうち電力消費に占める自然エネルギーの割合が70%を超える都市の数は100都市に達しています(図2)。この件数は、2015年と比べて倍増しています。

図2. 世界340都市の消費電力の自然エネルギー割合(出所:REC-GSR2019)

全都市の自然エネルギー電力割合の平均は約41%ですが、10%未満の都市が100都市近くある一方で、90%を超える都市も70あります。

熱利用についても、地域熱供給により自然エネルギーの割合を高めている都市が数多くあります。交通部門でも鉄道や電気自動車(EV)、バイオ燃料等により自然エネルギーを利用する交通システムが徐々に導入され始めています。さらに、2018年末までに世界の200の都市が、電力部門で自然エネルギー100%をめざしています。熱部門についても110の都市が自然エネルギー100%をめざすという目標を掲げています。

松原弘直(環境エネルギー政策研究所)