2016年4月から始まった「電力小売全面自由化」から3年が経ちました。新電力の販売電力量でみた新電力のシェアは約15%(14.9%)に、家庭など低圧部門でのスイッチング(大手電力から新電力への切り替え)も約16%(15.6%)となりました1

[1]2019年3月時点、電力ガス取引監視等委員会2019年6月17日リリースより

できることなら環境にやさしい電気を使いたいという思いは、多くの市民が持っていると思います。でも、忙しい毎日のなかで、電力会社はまだ切り替えていなかった、という方も多いかもしれません。

今からでも遅くありません。むしろ今、「自然エネルギーや地域」を重視する電力会社の輪は各地にひろがり、選択肢は大きく増えています。アクションに必要なのは情報ときっかけです。

自然エネルギー100%プラットフォームと連携するパワーシフト・キャンペーンでは、さまざまなかたちで情報提供をおこなっています。下記によくある質問をまとめましたので、ぜひ参考にして下さい!

Q1. パワーシフト・キャンペーンとはどのようなキャンペーンでしょうか?

パワーシフト・キャンペーンは、2015年に環境団体や消費者団体などのネットワークでスタートしました。電力自由化を機に、わたしたち消費者が再生可能エネルギーを重視する電力を選択することで意思表示を行い、社会全体のエネルギーシフトを促していくことを目指しています。

いま、自然エネルギー供給を目指す電力会社は各地に次々と現れています。「市民や地域が主体となってつくられた自然エネルギーの電力を選びたい」という市民・消費者の声を、カタチに、行動にしていきたいと考えています。そのため、下記のような方針を持つ電力会社を紹介したり、電力会社を切り替えた企業・事業所を紹介したりしています。

パワーシフト・キャンペーンが重視する点

  1. 「持続可能な再エネ社会への転換」という理念がある
  2. 電源構成などの情報開示をしている
  3. 自然エネルギーを中心として電源調達する
  4. 調達する自然エネルギーは持続可能性のあるものであること
  5. 地域や市民による自然エネルギーを重視している
  6. 原子力発電や石炭火力発電は使わない
  7. 大手電力会社と資本関係、提携がないこと

Q2. おうちの電気を切り替えるのに、電気工事など必要なのでしょうか?

必要ありません。物理的に電気を届ける、電線や電力メーターを管理する「送配電」の仕事は、引き続き地域の電力会社が担っていて今までと変わりません。自由化された「小売」は、お客さんとの事務的な窓口です。広告宣伝や契約など事務的な手続き、お金のやり取りを行っています。電気の調達や管理はコンピューター上で行うものです。だから、他業種の企業や自治体、小さな会社も含めてたくさん参入しているのです。

Q3. 大きな電力会社でないと、倒産して電気が止まったりすることはありませんか?

安心してください。先ほど述べたように、物理的な電気の流れはこれまでと変わらず、万が一小売の電力会社が倒産しても、送配電会社(東京であれば東京電力パワーグリッド)が電力供給を続けますし、また別の電力会社を選べばいいのです。選んだ電力会社によって、電気が止まることはありません。

Q4. 自然エネルギーの電気は高いのでは?

「自然エネルギーは高い」と言われることがありますが、本当でしょうか?太陽光や風力、水力を活用する電気であれば、燃料費はゼロです。また化石燃料や原子力は、大気汚染物質やCO2、放射能や放射性廃棄物を出し、それらによる環境への影響はコストに含まれていません。長期的にみたときに、どちらが「高い」のかは明らかです。

ただ、自然エネルギーは最初に導入するときの設備費は現状ではまだ少しかかるかもしれません。最初は応援が必要ですが、これも普及につれて下がっていきます。

一方、自然エネルギーを重視する電力会社の電気代がこれまでと比べて高いかといえば、実はそんなことはなく、大手電力と同じ程度の価格に設定しているところが多いです。電気を使う量によっても多少変わってきます。

Q5. 自然エネルギー100%の電気は選べるのでしょうか?

選ぶことは可能です。ただ、現状で100%でなくても、選ぶ意義があります。

自然エネルギー100%の電力メニューを扱っている電力会社もあります。(みんな電力、ネクストエナジーアンドリソースなど。ただしグリーン電力証書やFIT非化石証書の購入により「実質100%」とする場合が多い。)また、生協系の電力会社など、FIT電気(補助を受けている自然エネルギーの電気)の割合が高い電気もあります。

一方、パワーシフト・キャンペーンで紹介している電力会社には、必ずしも自然エネルギー/FIT電気の割合が高くないところもあります。自然エネルギー発電所がまだ十分に多くないため、新規に参入した電力会社は調達に苦労している現状があるためです。

現状の自然エネルギー比率はひとつの目安ですが、それだけではなく、将来に向けて、電力販売による利益を地域や自然エネルギーにどのように還元していくかというビジョンも重要だと考えています。

Q6. 企業や事業所の取り組みにはどのようなものがあるでしょうか?

市民の取り組みだけでなく、企業や事業所や自治体などの取り組みも重要です。電力使用量が大きいだけでなく、関係者や社会にむけたアピールになります。

食品会社や化粧品会社、薬局チェーン、民放ラジオ局、私立学校や宗教施設、カフェ、シェアハウスや事務所などなどが、自然エネルギーの電力会社に切り替えています。すてきなエピソードがたくさんあって、その話を聞いて次に切り替える人が出てくるなど、輪が広がっています。

自然エネルギー100%プラットフォームへの参加(目標と宣言)とあわせて、電気の切り替えをおすすめしています。

Q7. キャンペーンで伝えたいことはなんでしょうか?

私たち一人ひとりが、行動を起こすことができ、少しずつであっても、お金の流れを変えることができるということです。日本が自然エネルギー社会に変わっていくうえで、技術的な課題解決ももちろんですが、やはり消費者の選択が変わっていくことは非常に重要です。英語の「POWER」には電力という意味も権力という意味もあります。両方のあり方を考えていきましょう。

どこか遠くで、環境に負荷をかけて作られるものだったエネルギーを、地域に、市民により身近な持続可能なものに、取り戻していく。そのプロセスの中で、地域のなかでさまざまなつながりが生まれたり、企業や事業所の面白い取り組みが見えたり、エネルギー問題や原発事故に対する色々な思いが垣間見えたりすることがあります。

地域づくり、つながりづくり、課題解決、顔の見える関係、そういったさまざまな活動がつながって初めて「エネルギーを市民の手に」は実現できると思います。

電力会社選びもその一つ。一緒にアクションを広げていきましょう!

吉田明子(国際環境NGO FoE Japan/パワーシフト・キャンペーン事務局)