環境エネルギー政策研究所(ISEP)が主催し、自然エネルギー100%プラットフォームが後援したフォーラム「地域の脱炭素化を実現するPPA・再エネ調達の課題と展望」が11月8日に開催されました。
▶イベントページ:https://www.isep.or.jp/event/14075
このフォーラムでは、地域において脱炭素化の実現にあたり、PPAをめぐる電力市場や関連制度の現状と今後の方向性や、活用事例を共有し、事業推進のための様々な課題・方策について議論されました。
ISEPの飯田哲也さんからは、再生可能エネルギー100%への課題として、国際的な再生可能エネルギーの情勢と国内の高い再エネポテンシャルに対して存在する壁と課題、PPAの可能性を発表頂きました。再エネを拡大するための提言や、再エネ電気の調達方法を比較したうえでPPAの課題も明らかにして頂きました。
続いて、パネル討論を4つのテーマで行いました。
パネル討論テーマ1「地域の脱炭素化の現状と課題」
環境省の地域脱炭素事業推進課から高橋さん、ISEPの飯田哲也さん、全国ご当地エネルギー協会の鈴木亨さんが参加しました。
高橋さんからは脱炭素先行地域の取組を中心とした報告を頂き、鈴木さんから脱炭素先行地域とPPAのかかわりや、再エネのポテンシャルを活かしたゾーニングの重要性に触れて頂きました。飯田さんからはPPAを活用した課題を出し合い学び合う場が必要とのコメントがありました。
パネル討論テーマ2「PPAを活用した脱炭素化への取組みの現状と課題」
株式会社UPDATER(「みんな電力」)から真野秀太さん、全国ご当地エネルギー協会の鈴木さん、日本PVプランナー協会の大槻浩之さんが参加しました。
真野さんからはみんな電力によるコーポレートPPAの事業スキームと課題、解決策としての部分供給に関して報告頂きました。また、鈴木さんからはご当地事業者から見たPPAモデルへの期待と課題についてポイントを上げて頂き、気象予測のレベル向上がカギであるとのコメントがありました。また、大槻さんからはPPAへの参入が増える中でソーラーシェアリングのハードルが下がる必要性について説明頂きました。
パネル討論テーマ3「需要家からみた再エネ調達の課題とPPAの可能性」
イオン株式会社の木下順次さん、再エネ100宣言RE Action協議会の金子貴代さん、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズの柳田勇真さんが参加しました。
木下さんからは「2040年までに店舗で排出する温室効果ガス総量をゼロ」という目標を掲げるイオンの再エネ導入の試みを報告頂きました。金子さんからは再エネ100%利用を促進する枠組みであるRE Action参加企業の再エネ調達の事例紹介を頂き、柳田さんからはアイ・グリッド・ソリューションズの太陽光のPPAモデルと余剰電力を需給調整する仕組みを紹介頂きました。
パネル討論テーマ4「PPAをめぐる事業スキーム・契約等、法的観点からの問題整理」
三宅坂総合法律事務所弁護士の加賀山皓さんとRE Actionの金子さんが参加しました。
加賀さんはPPAにおける契約上のリスクや課題、フィジカル・バーチャルそれぞれの法改正・論点などを発表頂きました。また、金子さんからは需要家の立場からPPAの契約に対して、契約書の雛形などの情報公開があれば良い、PPAは長期契約のため途中で破棄・他者に譲渡する場合も含め契約に盛り込む必要についてコメントを頂きました。
様々な立場でPPAに関わる方々から多角的な情報提供を頂いたセミナーになっています。ISEPのイベントページでは、本セミナーの動画も掲載されておりますので、ぜひ詳細をご確認ください。