5月25日、自然エネルギー100%プラットフォームは、「屋根置き太陽光パネル設置を全国で標準化するには」と称したセミナーをオンラインで開催しました。
▶イベントページ:https://go100re.jp/3503
本イベントページ上に、当日の資料および動画を掲載しております。
昨年度、東京都と川崎市では太陽光発電の設置義務化を含む条例が成立しました。これによって、一定の規模以上の建築事業者は、発電に条件の良い新築住宅を中心に、建築時に太陽光パネルを設置することになりました。
太陽光発電は個人でエネルギー自給を進めることができるほぼ唯一の手段です。地域に太陽光発電が多く導入されていれば、災害への備えや経済の地域循環を高めることになり、地域のレジリエンス(困難があってもしなやかに回復する力)を養うことに繋がるのです。
この先進的な制度を全国でも「標準化」するために、今回のウェビナーでは東京大学の前先生、東京都の福安さん、川崎市の井田さんより、お話を伺いました。
講演
まず省エネ・健康住宅の専門家の前真之先生より、太陽光発電や断熱ハウスがいかに電気代を安くするか、太陽光発電に対してよくある誤解への回答や、これからどう行政が太陽光発電を推進していくべきかなどについて、ご講演を頂きました。このままでは「2030年新築⼾建の6割に太陽光」とする国の⽬標は達成できないとし、普及を促進するためにも「本来は国が本腰を入れて取り組むべき」とされました。
先行の条例については国が取り組むべきところを自治体が非常に努力しリードしていると評価されました。ただ「義務化」より「標準化」という言葉を使うべきだったのではないか、という示唆も頂きました。実際はゆとりの残された水準だったにも関わらず、「義務化」という言葉の強さが独り歩きし、必要以上の反発を招いてしまったためです。この辺りの言葉への配慮は、続く自治体のヒントになりそうだと感じました。
前先生の資料には、ウェビナーの事前に寄せられたご質問への回答も用意されています。こちらもぜひご覧ください。
事例紹介
東京都環境局の福安さんからは、東京都の太陽光発電設置義務化を含む条例の内容や、成立に至るまでの経緯、2025年4月の施行に向けて現在取り組んでいることをお話頂きました。情報発信のためのツールや相談窓口など、理解を促進するための取り組みが多彩に用意されています。
他の自治体でも普及が進むよう、制度化を検討中の自治体があればぜひ相談・連携してほしいと心強いコメントを頂きました。また、国に対しては2030年の目標に向けた具体的なロードマップの提示や分かりやすい情報発信を求めました。
川崎市環境局の井田さんからは、川崎市の脱炭素に向けたプロジェクトをご紹介頂きました。再エネの導入ポテンシャルをはかる中で、「住宅用及び事業用建築物への太陽光発電設備の設置が最も有力」とし、太陽光発電の義務化に至った経緯をお話しくださいました。
川崎市は国内でも有数の工業都市で、産業部門のCO2排出割合は全国平均を大きく上回ります。井田さんからの「東京都だからできたんだという声もあったが、川崎市が続けば次の自治体にもバトンを繋げることができると考えにたどり着いた」というコメントが大変印象的でした。
東京都と川崎市の取組については、共催団体であるゼロエミッションを実現する会のホームページでより詳しく紹介しています。こちらもご覧ください。
▶5月25日ウェビナー「屋根置き太陽光パネル設置を全国で標準化するには」報告
太陽光発電が全国で「標準化」するために、私たち自然エネルギー100%プラットフォームも次に続く自治体を応援するべく、情報発信を継続しています。太陽光発電については、「太陽光発電のギモン解決!よくある質問15選」というパンフレットを作成していますので、こちらもぜひご覧ください。
当日の動画はCAN JapanのYoutubeチャンネルで公開しております。
当日ご参加されなかった方・ウェビナーを見直したい方も、以下のリンクからぜひご覧ください。動画の概要欄から、テーマごとの発表時間に飛ぶことも可能です。
▶当日の動画:https://youtu.be/29OyTSUXyCE
過去のウェビナーの動画・関連するレポート・パンフレットなどはこちら