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英シンクタンクEmberは、5月18日に日本の風力に関するレポート『Japan’s missing piece of clean power』を発表しました。
このレポートでは、日本の現在の電力計画と、電力部門の脱炭素化に向けて今年発表された2つの調査(※)を比較したうえで、さらにG7諸国の計画と比較しています。レポートは「日本の風力発電、特に洋上風力発電に消極的な姿勢によって電力部門の脱炭素化が阻まれている」と述べています。

※2つの調査
米ローレンス・バークレー国立研究所「2035年日本レポート: 電力脱炭素化に向けた戦略」:2035年までに90%の脱炭素電力が可能
自然エネルギー財団「2035年エネルギーミックスへの提案(第1版)」:2035年までに80%の自然エネルギーによる電力供給が可能

電力の脱炭素化のために必要なのは?

これら2つの報告書は、風力と太陽光を中心としたクリーン電力の増加により、日本の電力は2035年までにほぼ脱炭素化されると予測していますが、これらのシナリオと現在の日本の計画で最もギャップが大きいのは洋上風力だと指摘されています。

バークレー国立研究所は、2035年までに洋上風力だけで日本の電力の18%を供給できると予測していますが、現在の日本の計画では、2030年までに陸上風力と洋上風力を合わせても5%にとどまっています。

自然エネルギー財団のシナリオは、太陽光発電をより多く導入する想定となっていますが、風力も2035年までに日本の総発電量の20%を占めることができ、洋上風力の発電容量は25.4GWに達するとしています。これは、第6次エネルギー基本計画で定められた2030年度の温室効果ガス46%削減に向けた「野⼼的な⽔準」である5.74GkWをはるかに上回る数字です。

図:現状(2022年)と2030年の電源構成目標、および自然エネルギー財団とバークレー国立研究所の調査が示す2035年に日本が達成可能な電源構成

G7と日本を比較して

今年4月に行われたG7気候・エネルギー・環境大臣会合(以下、G7環境大臣会合)では、「2030年までに新たに洋上風力を150GW導入する」という目標が設定されました。しかし、この目標のうち、日本が現在計画中のものはたった4%(5.7GW)です。これは日本の洋上風力の理論上のポテンシャル(392GW)の1%強にすぎず、いかに日本が風力の導入で遅れをとっているか見てとれます。

G7環境大臣会合では、日本以外の国が2035年までに電力部門を「完全に」脱炭素化すると共同声明に記載することを求めました。ところが、日本は「完全または大宗(predominantly)」と、この目標を弱めるよう主張し、他のG7諸国の足を引っ張ったと報じられています。また、石炭火力はCO2排出が最も大きな電源であるため、英国やカナダが早期全廃を盛り込むよう求めていましたが、G7の中で最も石炭火力の割合が高い日本は廃止期限の明記に強く反対していました。

最新の発電データでは、日本のクリーン電力の割合はG7の中で最低で、全体の71%も化石燃料に依存しています。

図:日本はG7の中でクリーンエネルギーの割合が最低

電力の脱炭素に貢献する風力発電

10年間で電力の脱炭素化を達成するための最大かつ最良の方法は風力と太陽光ですが、日本は太陽光導入は比較的進んでいる(約10%)一方で、風力発電の導入はあまり進んでいません(1%未満)。風力発電は、太陽光の発電量が落ちる夜間や天気が悪い時にも発電することができます。両者をバランスよく、最大限導入することが電力の脱炭素化への鍵となるでしょう。

図:発電における風力と太陽光の割合をG7と日本で比較したもの

執筆者のDave Jonesは、「もし日本が他のG7諸国と同じように洋上風力発電の拡大に意欲を示せば、2035年の電力の脱炭素化というG7の前提に沿うことができるはず」とコメントしました。

化石燃料から再生可能エネルギーへの移行をいかに早く実現するか、日本を含むG7のリーダーシップが問われています。

気候変動対策のため、先進国として歴史的に大量に温室効果ガスを排出してきた責任を果たすためにも、日本はその大きなポテンシャルを生かし、風力発電、特に洋上風力を早急に導入していくべきでしょう。