8月17日、自然エネルギー100%プラットフォームは、「省エネ再エネの家をみんなが買えるために 〜行政と銀行にできることを考えよう〜」と称したセミナーをオンラインで開催しました。
▶イベントページ:https://go100re.jp/3594
本イベントページ上に、当日の資料および動画を掲載しております。
高性能住宅を増やすには?金融的施策の必要性
本ウェビナーでは、初期コストが問題となりがちな、太陽光発電を備え省エネ性能の高い新築住宅を、住宅ローンのような金融的な施策によってどう普及を進めていくか、様々な視点から議論を深めました。
まず東京大学の前真之さんから、脱炭素社会に向けてネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)に関する普及状況などを共有頂き、高性能住宅を増やすべき背景と、高性能住宅にお金が回る仕組みの必要性を説明頂きました。
LIFULL HOME’S 総研の島原万丈さんからは、省エネ性能の表示に向けた概要とロードマップを紹介頂きました。アンケート結果で省エネなどの性能表示は住宅の選択時にあまり考慮されていないが、実際に住んでからは住宅の性能の低さが退去理由の大きな要因になっているとの報告を頂き、性能表示が進んでいるEUの状況をご紹介頂きました。
環境省の内田崇さんからは、住宅の省エネ化推進に向けた環境省の取組として、戸建て住宅や集合住宅の断熱化支援などをご紹介頂きました。また、加えて既存住宅の脱炭素化の必要性についても説明頂きました。今後のさらなる対策拡充にも期待が高まります。
高性能住宅への銀行の施策とは?
実際に住宅ローンという形で高性能住宅の金融的な優遇措置を行っている、琉球銀行と西日本シティ銀行から、それぞれの銀行の住宅ローンをご紹介頂きました。
琉球銀行では、沖縄県の脱炭素社会の実現のため、県内でのZEH・省エネ住宅の普及を目的とした事業者の連携体制「ZEP Ryukyu」を構築しています。ZEHの住宅はローンの優遇があり、ZEP Ryukyu加盟業者の施工を条件に当初5年間の固定金利が0.5%になります。また、光熱費の削減効果を年収に加算しみなし年収とすることで、借入可能額の増加をはかる仕組みも先進的です。
2030年度までのカーボンニュートラルを目標に掲げる西日本シティ銀行では、もともとあった長期優良住宅への金利優遇に加え、ZEH住宅/LCCM住宅への金利優遇も始めました。ZEH住宅では0.55%、LCCM住宅では0.54%になるというものです。また、環境優良住宅とは別に、LGBTQの方に向けた住宅ローン対応についても参加者からは関心が持たれました。
工務店として、エコワークス株式会社の小山貴史さんからそれぞれの発表者へのコメントを頂きました。特に銀行の取り組みに対して、住宅ローンの優遇の分、太陽光発電や蓄電池への投資をする余裕ができるため、工務店としてもこの施策は重要だと考えるとのコメントが印象的でした。
高性能な省エネの家を選ぼう!健康・光熱費削減策として
さらに、実際に高性能住宅を選択し、今年引っ越しをされた気候ネットワークの桃井貴子さんからもコメントを頂きました。高断熱で、太陽光パネルと蓄電池を設置した住宅でエアコンの効きの良さを実感し、光熱費は大幅に下がったとのことです。ただ、不動産屋で省エネ住宅を選ぼうとしてもなかなか情報にたどり着けなかったようです。桃井さんの住宅選択にまつわる経験談はブログでもご紹介されています。
今回のウェビナーは新築の住宅が対象でしたが、講師の皆さんからは集合住宅や既築住宅の脱炭素化をどうするかという課題感も共通して見られました。今後少子高齢化が進み新築住宅の増加があまり増えない中で、どのように今ある住宅を断熱化し、資産として評価していくのか、今後もカーボンニュートラルに向けた重要なテーマとなります。
当日の動画はCAN JapanのYoutubeチャンネルで公開しております。
当日ご参加されなかった方・ウェビナーを見直したい方も、以下のリンクからぜひご覧ください。動画の概要欄から、テーマごとの発表時間に飛ぶことも可能です。
▶当日の動画:https://youtu.be/D2bgvkfFoLY
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