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自然エネルギー100%をめざす動きは、すでに企業活動の中で大きな位置を占めつつあります。自然エネルギー100%をめざすグローバル企業のイニシアティブ「RE100」から、その動向を見ていきましょう。

「RE100」とは?

「RE100」は、The Climate GroupとCDPによって運営される大企業の自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブです。RE100は、企業による自然エネルギー100%宣言を可視化するともに、自然エネの普及・促進を求めるもので、世界の影響力のある大企業が参加しています。(当Webサイト「自然エネルギー100%プラットフォーム」は、RE100とは別のビジネスの取り組みです)

現在、RE100には世界の117社が参加しています。その多くは誰もが知っている大企業です。参加企業の代表例を挙げると、Google、Microsoft、Apple、Facebook、スターバックス、BMW、IKEA、Nike、ゴールドマン・サックス、H&M、P&Gなど、私たちが日常的に商品やサービスを利用することも多い、グローバルに活動を展開する企業が参加しています。

欧米の企業が多いように見えますが、中国からは空調機器のブロード・グループ、インドからは自動車のタタ・モータースなどが参加しています。自然エネ100%をめざすムーブメントは、先進国か途上国を問わない、グローバルなトレンドになりつつあります。

日本企業ではこれまでに3社が参加 - Japan-CLPが参加をサポート

日本では、Japan-CLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)が、The Climate Groupとパートナーシップを結び、RE100だけでなく、エネルギー生産性を倍増させるイニシアティブ「EP100」や、電気自動車および交通の電化を推進するイニシアティブ「EV100」への日本企業の参加支援をおこなっています。

しばらく世界の流れには遅れていた日本ですが、Japan-CLPのサポートの下、いよいよRE100が動き出しました。現在までに、日本企業としてRE100に参加している企業は、精密機器メーカーのリコー、住宅メーカーの積水ハウス、そしてアスクルの3社です。

それぞれがRE100に登録した自然エネルギー目標は次の通りです。

リコー:2050年までに自然エネルギー電力を100%にする。中間目標として、2030年までに少なくとも30%を達成する
積水ハウス:2040年までに自然エネルギー電力を100%にする。中間目標として、2030年までに50%をめざす
アスクル:2030年までに自然エネルギー電力100%をめざす。中間目標として、2025年までに80%をめざす。

日本でも少しずつ知られるようになってきた「RE100」。この3社のリーダーシップに続き、今後も、RE100に参加する日本企業がさらに増え、自然エネルギー100%のムーブメントをさらに広げる原動力になることが期待されます。自然エネルギー100%の目標を掲げるリーダー企業を応援したいですね!

企業が自然エネルギー100%を掲げる理由

このようにグローバル企業が「自然エネルギー100%」をめざす背景には、もちろん、危険な気候変動の原因となる化石燃料利用を減らし、CO2排出の少ない、クリーンな企業として先進的にリーダーシップをとるということもあるでしょう。また、自然エネルギーのコストが下がり、化石エネルギーよりも自然エネルギー100%に転換することでより安定したビジネスが見込めるということもあるでしょう。自然エネルギー100%への転換を打ち出すことで、グローバル市場における競争力を高めることもできるでしょう。

RE100の設立当初から参加していた家具メーカーのIKEAの担当者は、「エネルギーを100%『再生可能』にするということは、ビジネスを100%『再生可能』にするということだ」と話しています。企業活動を持続可能なかたちで続けるために、自然エネルギーの役割は大きいといえるのではないでしょうか。

執筆:気候ネットワーク 伊与田昌慶